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マエルの航海日誌(Le voyage de Maelle)

第6回 船上生活(2006年6月1日)
掲載月:2007年2月

血糖測定中のマエル

(マエルより)

朝7時半。ママが私を起こしにやって来た。パパは朝食の準備。起こされても、私はもうちょっとベッドにいたいって思ってしまう。 いつだってそう。すぐに起きるのなんて嫌い。そのまま起きずにいたら、パパが様子を見に来た。 仕方なく起き上がって尿テスト、尿糖やケトン体が出ていないか調べなきゃいけない。 顔を洗って着替えてパパとママが待ってるガレーに行く。ここは私たちにとってダイニングみたいなもの。船の中で一番長い時間をすごす場所。

血糖測定器を使って、血糖値を測る。この測定器って好き。速くて使いやすいから。たったの5秒で結果が出るし、しかもほんのちょっぴり血液をたらせば測ってくれるから。何日間かの血糖値の平均まで出してくれるところも気に入っている。7日間、14日間、30日間の平均値を簡単に出してくれるの。このデータはすごく役に立つ。

1型糖尿病のマエル、食事は大切

パパやママと一緒にインスリンの量を計算して、自分で注射するの。 毎回違うところに注射しようと思ってるから、結構むずかしいけれどね。私が注射してるのは速効性のインスリンだし、打ってすぐ朝ごはんだってOKなの。

船で色んなところを回ってるからって勉強してないって思われてるかも知れないけど、それは間違い。CNED(国立遠隔教育センター)に登録してあるから、船にいてもちゃんと義務教育のカリキュラム通りに、学校の勉強が出来るの。今年は4年生。学年が新しくなったとき、勉強で使うプリントや教科書、CDを全部いっぺんにもらうの。スケジュールは決まってて、国語と算数は3週間ごとにテスト、他の教科も6週間に1回テストがある。先生はふたり。ひとりは英語の先生で、他の教科は全部もう一人の先生が受け持ってくれている。二人ともフランスに住んでいて、私がテストをやって送ったら、採点して送り返してくれるの。

毎朝8時半、ガレーのテーブルで勉強開始。ママかパパが何をやればいいか説明してくれて、あとはそばで見ててくれる。練習問題をやると間違いがないか見て直してくれるし。だいたい週に五日そうやって勉強するけど、何の科目をやってるかとか、私の体調によってどのくらい勉強するか決めている。午前中が半分終わったところで少し休憩。血糖値を測ってからちょっとゆっくりする。血糖値が低かったら、予定を変えなきゃいけない。そのあと、また、お昼まで勉強。それからランチ。ランチタイムには定期的にネットカフェに行っている。勉強の調べものをするため。CNEDのサイトには、すごくたくさんの情報が載ってて、勉強に役立つものも探せる。せっかくの機会だから、フランスの友達にメールを送ったりもするけどね。午後1時半からその日最後の勉強を開始。2時半に終了。

お休みは公立の小学校と同じだけど、必要に応じてスケジュールを変えてもいいの。でも、航海中はいつでも座って勉強できるってわけじゃないから、なるべく出発の前に、航海に出てる日数分は勉強をやっちゃうことにしてるけど。 2時半に勉強を終わったら、普通に学校に行ってる子と違って宿題はなし。宿題も含めて、2時半までに終わってるって言えるかな。だから、勉強のあとは自由時間がたっぷりあるの。フランスで公立の小学校に行ってたころに比べて、自由時間はぜんぜん長い。だから、船を下りて街に行くの。お店をのぞいたり、ぶらぶら歩いたり、自転車やスクーターに乗ったり。私の血糖測定器のケースはすごく丈夫な上、防水になっていて便利。とくにディンギーで出かけるときにね。毎日お天気もいいし、暖かくなってきたから、泳ぎに行く楽しみがあるし、フリッパー(水かき)、マスク、スノーケルをつけてダイビングもたくさんできる。

血糖測定器、砂糖、スナックは必需品

時々、パパと一緒にウィンドサーフィンにも挑戦するの。風があんまり出てないときだけど。ちょっと風が出てきたら、オプトミスト(初心者向け小型ヨット一人乗り)でセーリングも好き。学校に行くかわりに船でCNEDの勉強してると何がいいかって、スポーツする時間がたくさん取れること。具合が悪くなるのはいやだから、スポーツをするときは、始める前、やってる最中、それから終わったあとに血糖値を測っている。ママがどの位でんぷんが必要か計算しなおしてくれて、必要だったら、なにか食べなきゃいけないときもある。こんな情報は全部“糖尿病管理手帳”に書いておくと、また同じスポーツを同じ状況のときにやることになったとき、すごく助かる。一番血糖値を下げてしまうのは、スクーターと水泳みたい。

オプトミストでセーリングに行くとき、防水ケースに入れた血糖測定器、お砂糖、スナックは必需品。風が止まったり、嵐になったりすると困るから、パパかママがモーターディンギーで連いてきてくれる。雨の日は外に出られないから、絵を描いたり工作したり。これは時々パパが一緒。本もたくさん読む。ママと一緒にお料理も好き。ママは私に作り方や材料を変えてお料理をさっぱりヘルシーに作るやり方を教えてくれてるの。午後結構スポーツをやった日は、夜の速効性インスリンの量を減らさなきゃいけない。夜、血糖値が下がる傾向があるから。食べ物の量、インスリンの量を調節してたら、大体なんでもうまくいくの。夕食がすんだら、チェスを1ゲームすることもある。でも大切なのは血糖値を測ること、そしてその日最後のインスリン注射が9時半、そのあとベッドに入る。

糖尿病の人は誰だってそうだろうけど、私も時々、注射がするのがいやになって、うんざりしてしまうことがあるの。注射なんて好きじゃないし、具合の悪いときは特にそう。注射しなきゃいけないってことはわかってるの。パパやママの言うとおりにちゃんとやってないと今こんなに楽しんでる色んなことができなくなるって。でもどうしても注射がいやな気分になってしまった時、パパとママはすぐに気づいて助けてくれる。私が自分でできるようになるまで、代わりにパパかママが注射してくれるの。科学者の先生に大急ぎで注射の替わりをなにか発見してほしいな。心からそう思う。

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