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マエルの航海日誌(Le voyage de Maelle)

第23回 クリスマスの準備(2008年1月)
掲載月:2008年12月

マエル 新しいヘアスタイル

(マエルより)

11月、ジガンショールでフラニ族の姿を見かけるようになった。遊牧民である彼らは、羊の群れを駆り、はるばる北部から歩いて移動してくる。彼らが連れてきた羊たちは、街中を勝手気ままに歩き回り、道端や空き地に草が生えているのを見つけては食べている。マトンは、イール・アド=アルハーというイスラム教の犠牲祭には欠かせないごちそうで、今年は12月20日がその祝日にあたっている。毎年このお祭りが近づくにつれ、地元の市場でマトンの値段がどんどん上がり、直前になると普通の家ではちょっと手の出ないような価格になってしまうのだそうだ。

マトンを買う余裕がない家庭は、鶏肉で代用する。そういえば、キリスト教徒もそろそろクリスマスの用意に取りかかる頃だ。

もちろんクリスマス前のヨーロッパとは比べ物にならないけれど、ここでも、ふたつの大きな祝日を控えたこの時期は、商売をする人たちには書き入れ時だ。歩道にはびっしりと露店が出て、こまごました装飾品やナイトクリーム、髪をストレートにするアイロンなどが売られている。祝日におしゃれしたいのは、どこの国でも同じみたい。お店には、新しい生地が並べられて、仕立て屋は昼夜を問わず、ブブと呼ばれる長いローブの民族衣装を作るのに大わらわ。ブブは祝日に新しく仕立てるのが習わしだから、みんな競い合うように美しいものを手に入れようとする。新しいものを買えない人は、友達から借りるのだそう。女性たちは、小さい女の子からおばあさんまで、家族や友人同士集まってヘアスタイルを整えるのが、この時期の楽しみのひとつ。ブレイズを解いて、新しく編み直す。これは、彼女たちにとっては、新しいヘアスタイルに挑戦する機会でもあるようで、人口毛のエクステンション(アクセサリー的に装着するつけ毛 )をつけてブレイズを長くしたり、ヘアピースをつけたり。ヘアピースには、直毛のもあるし、色もさまざまに揃っている。しかも、このヘアピースにはさみを入れて好みのスタイルにすれば、ヨーロッパ風の髪型も思いのまま。そうやって大きくイメージチェンジすると、友達でも誰かわからないこともあるくらい。

私もみんなに倣って、新しいヘアスタイルに挑戦することにした。友達のローズの家に行ってブレイズを頼んだら、これが結局3時間もかかった。しかも、その痛さと言ったら・・・。正直、何回か涙が出たくらい。ローズが言うには、髪を編みこむ前に痛み止めを飲む女性もいるそうだ。しかも、編んだあとも3,4日は頭皮が痛むのは当たり前らしい。ブレイズが緩んでしまわないよう、あれだけきつく引っ張るのだから無理もないのだけれど。それでも、仕上がりは痛い目にあった甲斐があったと思ったくらいステキだった。

クリスマスの準備

街中ほどではないけれど、村もまた、祝日を前にうきうきした雰囲気に包まれていた。女性たちは稲の刈り入れ、男性たちは新しい小屋作り。ヤシ酒を作る人たちは樹液を集めるため、村はずれに広がる茂みに向かう。みんなもう若くはないのだけれど、ロープを腰のまわりに巻いて、葉っぱの生えている木のてっぺんまで、幹をするすると器用に登っていく。てっぺんまで上ると、葉っぱが生えているところの樹皮に切り込みを入れ、ヤシの葉で作ったじょうろを差込んでおくと、じょうろにつけたペットボトルに樹液が一滴一滴流れ出てくる。1日か2日たって取りに来るころには、ボトルの中には樹液がたまっている。この樹液を発酵させてできるのが“bounouk”というお酒で、いろんな儀式やお祭りには欠かせない。パパとママは飲んだことがあるのだけれど、特殊なお酒で、かなり強いと言っていた。

学校はお休みに入っているから、子供たちも忙しく働いている。ちょっとお小遣いを稼いで、祝日に食べるお菓子(キャンディやクッキー、ドーナッツなど)を買おうと思っているのだ。子供たちの両親にはそんなものを買ってあげられる余裕などないから。大人たちが忙しくしているこの時期は、もう少し大きい子供たちにとって、音楽を聴いたりダンスを楽しんだりするコミュニティセンターに行くお金(入場料は100フラン、約15セント)を作るいい機会だ。たとえば女の子は、畑で働く女性たちの家の洗濯をしてお金を貰っている。まだそんな仕事が出来ない小さい子供たちは、バオバオの実を集めたり、エビを取ったりして、近所の人たちやボートで通りかかる人たちに売る。もっと大きい子供たちは夜明けとともにボートを出して川を上り、コイやバラクーダ、チョウチョウウオ、白ハタを釣りに出かける。夕方、ぐったりと疲れて戻ってきて、また、釣った魚を売りに出かけていく。

魚のバーベキュー

最近は、よく友達と一緒に釣りたての魚をバーベキューにして食べたりしている。すごく楽しい。ある日、マリーテレーゼに、「ここでは特別なごちそう」の魚のある部分を食べてくれと言われた。それは魚の目!失礼にならないよう丁寧に断った。そんなの絶対に無理。

マリーテレーゼは大の仲良しで、一緒にゲームをやったり、カリンを取りに行ったりもする。カリンは、彼女の家で飼っている豚にあげるのだ。今、蛇は冬眠中だから、安心して茂みに出かけることができる。彼女と遊んでいると私はディオラ語の勉強になる。彼女もフランス語を話すいい機会だと喜んでいる。

ここで過ごしている時間を、私は心から楽しんでいるけれど、パパとママは大西洋を渡って南米に行くようなことを話し始めている。もちろん、私も行ってみたいけれど、アフリカにいたい気持ちも強いので、決めるのは難しい。次にどこへ行くかは、3人全員で決めるのだけれど、ママはちょっと涼しいところで過ごしたがっていて、パパは水のきれいなところがいいと言う。私はと言うと、今のところ、特にどんなところがいいというのは無い。どう決まるか、皆さんにはもうすぐお知らせできると思う。

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