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マエルの航海日誌(Le voyage de Maelle)

第29回 ブラジル本土(2008年8月)
掲載月:2010年11月

(インタビューにマエルが答えています。)

-マエル、今どこにいるの?

サルヴァドール・デ・バイア。沖で1か月過ごしたんだけど、ちょうど戻ってきたところ。 街の中心から35キロくらいのところにある、地元の人たちが“水港”って呼んでいる小さな港に船を停めているの。 街の中心までバスが出ているので便利よ。“水港”なんて、ちょっと不思議な呼び名だと思ったんだけど、この港の歴史と関係があるみたい。 まだ水上飛行機しか飛んでいなかった頃、ここはサルヴァドールの空港だったんですって。 その頃、このリベイラ地方はおしゃれな海辺のリゾート地で、裕福な人たちが休暇を過ごしに来ていたらしいの。 今でも1930年代に建てられた、とっても素敵なお屋敷が残っている。タイル貼りで、すごく手の込んだ装飾がしてある連鉄製のバルコニーがあるのよ。 でも人口が増えるに従って、だんだん普通の労働者階級の人たちが住むようになったみたいだけど。 静かな住宅地で、小高い丘の上にカトリック聖堂が建っているの。 この教会では色んな奇跡が起こっていて、バイア州でその名前を知らない人はいないくらい有名らしいわ。 聖堂につながっている小部屋には、いつも何百ものお供え物が奉納されているんですって。バヒアのルルドって感じかな。

ブラジル本土

-今いるところはどう?気に入っている?

ここは半島に位置していて、大きな通りはたったふたつしかないの。 あとは細い通りが入り組んでいて、住宅地の間に、時々何軒かお店が並んでいるって感じ。 モリッツィオっていう港で知り合った水夫さんが、色々案内してくれて、食料品の買い物ができるお店とか教えてくれたの。 スーパーはちょっと遠いから、近くで買い物できると助かるのよね。何軒か回ると、必要なものは大抵揃うのよ。 買い物は、ちょうどアフリカにいたときと同じ感じね。ここはすごく気に入ってるわ。いつも新しい発見があって、わくわくしてるの。

-通りを歩いていて、どんなことを感じる?

貧しい人たちが多くて、家も小さいし、かなり老朽化している家もずいぶん見かける。家の中の壁もむき出しのレンガで、漆喰どころかペンキさえ塗っていないことが多いみたい。普段使わないドアや窓には、鉄の棒が張り巡らされていて、外から見ると、どの家もなんだか刑務所みたいに見えて、最初はびっくりした。今ではもう慣れちゃったけど。私がとっても好きなのは、街の雰囲気。毎朝5時頃お日さまが出るとすぐに、街全体が動き始めるの。屋台も、夜明けとともに通りに出るのよ。新鮮な魚や果物、野菜、それからペストリーの屋台もあるわ。店が1軒また1軒とシャッターを上げ、主婦たちは家の前の舗道を掃く。そして子供たちは学校へ。ペットの小鳥たちは、朝の新鮮な空気を吸うために、かごから放されるの。小さなバーの前にはテーブルが並べられ、そこでは朝のコーヒー(ブラジルでは金属の持ち手のついたガラスのカップで飲む)を楽しむことができるし、朝ごはんも食べられる。

夕暮れ時になると、女性たちは焼きトウモロコシや、ペストリー、ビーンフリッター(豆をつぶしてぺースト状にしたものを揚げたスナック)を家の前で売り始めるの。ちょっとした副収入になるんですって。だから、通りを歩いていておなかが減っても、困ることは全然ない。低血糖になっても心配無用。サトウキビをその場で絞ってくれる屋台もあるし、グリーンココナッツジュースを売っている屋台もいくらでもあるから。血糖を通常値に戻すのは簡単よね。バーやレストランには必ずフレッシュジュースがあるし。ただ、お砂糖を加えるかどうか、はっきり伝えないといけないの。ひとつ注意しておきたいのは、ブラジル人はかなり甘党だってこと。入れてくれるお砂糖の量は、かなりたっぷりだって覚えておいた方がいいかも。

ブラジル本土

-サルヴァドールで、一番印象が強かったことは何?

アフリカの雰囲気がすることと、セネガルの人たちより肌の色の濃い人たちがいること。それから、みんなとっても親切で、すぐに親しくなれること。ポルトガル語でうまく説明できなくても、なんとか理解して助けてくれたり、わからないことを教えてくれたり。そうそう、公衆電話のブースがココナッツの形をしてるの。面白いでしょ?

サルヴァドールの教会めぐりも、とっても楽しかった。一説では365もあると言われるほど、教会の多い地方なんですって。旧市街側のペロウニーニョには、祭壇の後ろの壁が300キロもの金粉で覆われたサン・フランシスコ教会があるの。地元の人たちは“黄金の教会”って呼んでる。それから動物園にも行ったけど、今まで見たこともないような動物がたくさんいて面白かった。たとえばバク、アリクイ、それにカピバラ。カピバラは、世界で一番大きいげっ歯類で、豚と同じくらいの大きさをしているんだけど、見かけは巨大なうさぎみたいの。ちょっと不思議な感じがした。まるで抱きぐるみみたいな、アンデス原産の小さなクマもいたわ。すっごく可愛いの。動物で思い出したけど、このへんには、足が黄色い小さな野生のサルもいて、高い木の上でまるでアクロバットみたいな離れ業を披露しているの。

マエル

それから、もうひとつ面白いお話があるの。こちらは、もしかしたら、秘密にしておいた方がいいのかも知れないけど。リベイラの港からすぐのところに、シャーベット・テンプルっていうアイスクリーム屋さんがあるんだけれど、ここが結構おすすめなの。フルーツフレーバーが40種類以上もあって、レモンとかパイナップルとかオーソドックスなものから、ビリビリとかアサーイ、インブー、クプアスなんて、聞いたこともないようなのも沢山あるの。いろいろ試してみたのだけれど、色にも味にもびっくり、っていうことが多かったわ。

このお店では、フルーツフレーバー以外に、人工甘味料で味をつけたのも色々売っているんだけれど、毎年、サルヴァドールのアイスクリーム屋さんでナンバーワンに選ばれるんですって。納得って感じ。どれを食べてもとってもおいしかったから。

-糖尿病の方はどうなの?

毎日アイスクリーム屋さんに行っているわけじゃないから、心配しないで。いつも通り、知らない食べ物は、まず少し食べてみて、それがどう血糖値に影響するか見るようにしてる。絶対によくないのが、“ドルチェ・デ・レチェ”。南アメリカではとってもポピュラーなデザートで、ミルクキャラメルの1種なんだけれど、もしこれを食べたかったら、速効性インスリンの量を調整するか、運動をするかが必要。おいしいけれど、私にはちょっと甘すぎてくどいような気がする。糖尿病用品を売っているところを探して、町中をくまなく歩き回ったんだけど、これがなかなか面白い経験だったわ。まず、通りで目についた薬局を回ったんだけれど、意外なことに、インスリンも、その他の糖尿病患者に必要なものも、どこにも売っていなかったの。ブラジルの患者さまたちは、一体どうしてるのかしら、って不思議に思ったわ。でも、薬剤師さんに、英語がわかる医療センターがあるから、そこに行って聞いてみたら、って教えてもらったの。早速そのセンターに行ってみたら、そこのお医者様がとっても親切で、ショッピング・サルヴァドールっていう、街で一番大きなショッピングセンターにある薬局に、私たちが探してるものがある、って教えてくれたの。バスで45分もかかったけど、確かにその薬局では、インスリンやアキュチェックの血糖測定器も取り扱ってた。値段はどれもだいたいフランスと同じくらいだったわ。

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